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声優・井上真樹夫さんの略歴・特色・人物まとめ

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人気アニメ「ルパン三世」の石川五ェ門役などで知られる声優の井上真樹夫さんが2019年11月29日、狭心症で死去した。80歳だった。井上さんは、1960年代から声優として活躍し、「巨人の星」の花形満、「宇宙海賊キャプテンハーロック」のハーロック、「キャンディ・キャンディ」のアルバートなど、数々の人気アニメで活躍した。

プロフィール

井上 真樹夫(いのうえ まきお、本名:井上 孝夫(いのうえ たかお)、1938年11月30日 – 2019年11月29日)は、日本の俳優、声優、作詞家。青二プロダクション所属。山梨県出身。血液型はO型。

略歴

中学生の時、移動劇団の『チルチルミチル』を観劇したことがきっかけで芝居の道を志し、16歳頃にはテレビドラマに出演を開始、高校在学中に東京アナウンス・アカデミーへ入学。同じ頃には寺山修司にインスパイアされ、後に友人と共にアングラ劇団を立ち上げたりしている。

しばらくして、舞台の成立が困難になったり生活が苦しくなったりしたため「お金を稼がなきゃ」と思っていたところ、知り合いのマネージャーに誘われ『ドビーの青春』の吹き替えに出演、声優業を行うようになる。後に青二プロダクションに所属、アニメにも多数出演するようになり、第1次声優ブームが起きると富山敬、神谷明と共に「声優御三家」の一人となる。

80歳を超えた後も『キングダム ハーツ シリーズ』でマスター・エラクゥス役として出演していた他、講演会・読み聞かせの開催、「伊能 絵巻(いのう えまき)」名義での作詩活動や小説の執筆など、晩年も精力的に活動を行っていた。

2019年11月29日、自身の誕生日の前日に持病の狭心症悪化のため死去。80歳没。

特色・人物

声優業では主人公から悪役まで様々な役をこなしている。中でも二枚目が多く、花形満など沈着冷静・優秀で偉丈夫な美男子のライバル役を演じることが多かった。

仕事に対する姿勢

井上がデビューした頃の声優は、「あいつは吹き替えをやっている」と笑われることもあるなど「舞台俳優が片手間にアルバイト感覚でやっている」という認識が強く、自身も稼ぐために始めたこともあって、しばらくは声優業を否定的な考えを持ちながら行っていた。だが、アニメや声優がブームになり地位が確立されると、徐々に「やりがいのある仕事」に変わっていったという。また、ブームを支持したファンには「仕事そのものの価値が今までの僕等の価値観ではとらえられないものに変ったんですね。その価値を皆さんが与えて下さったんです」「僕の人生観を変えさせてくれ、わずかではあるけども演技観も変えさせてくれるものだった」と感謝を表している。

専業声優確立以前から活動している他の人物同様に「声優である以前に俳優である」という姿勢とポリシーを抱いており、声優という呼ばれ方はあまり好ましく思っていなかったが、近年は「確かに昔はそういうことをずいぶん言っていましたけど、今はもうそういうことを言っても仕方がない」とも語っている。また、そのようにありたいという思想も抱いているため、過去には「舞台公演を敬遠する若手声優に憤りの感情を抱いている」という主旨の発言をしている。

近年の若手声優に対しては「素晴らしい演技している声優はたくさんいるけれど、『これはまだだな』という演技の子も平気で活躍している。それはあまり良いことではない」と語り、「どこかで聞いたことのあるような、口先の演技が横行していることはどうしても許せない。声優はプロだから、オリジナリティを出してほしい。真似はダメだ」という思いを述べている。

役作りについて「アニメだろうが、洋画だろうが、そのキャラクターの内面を想像して、その中に自分を入れ込む作業だから、何かを持ってきて参考にして、というのはやらない。もし、それをやってしまったらどこか物まね的になってしまう。とことん自分が考え、思い詰めていく中で何かが出てくる、それが役者の仕事なんだよ」と発言している。

役作りの一環として、アフレコの際は演じる役と同じ、又はそれに近い衣装を着て行っている。小林清志によると『ルパン三世』の石川五ェ門を演じる際は、作務衣を着ていたという。

エピソード

洋画の吹き替えで思い出深い作品に、これまで『冬のライオン』や『陽のあたる場所』を挙げている。

『巨人の星』で花形満を演じた際には、「キャラクターとの関係と役者との関係も同じようにする」というスタンスでライバル関係である星飛雄馬役の古谷徹とは意図的に親しく接することはなく、収録が終わってからそれは演技に集中するためだったと古谷に明かして謝ったという。ただし後年、この話題に「それはちょっと誤解が入ってる。俺の言い方が悪かったのかもしれないけど、実際は別にそんな避けていたわけじゃない。単に、あっちが中学生で話題がなかったんだよ。当時俺はもう29歳だったけど、アイツはスタジオで宿題とかやってるんだから(笑)」とも語っている。

『ルパン三世』シリーズでは、1977年(昭和52年)放送の『ルパン三世 (TV第2シリーズ)』から2010年(平成22年)放送の『ルパン三世 the Last Job』まで、長年にわたり石川五ェ門を演じていた。井上自身は五ェ門について、自身の代表作の一つであり大事なキャラクターで「人生に有形無形の関りがあった」と発言している。また「(五ェ門は)当初は二枚目だったが、途中からストーリーの都合で性格が一番変化させられることが多かったキャラクター」と語っている他、台詞が少ないことが多かったため、「少ないセリフの中で、彼の実在感を出す」ことにいつも苦労したという。これまで演じた中で思い出深いルパン作品には、『TV第2シリーズ』112話「五右ヱ門危機一髪」や『ルパン三世 燃えよ斬鉄剣』を挙げている。

『宇宙海賊キャプテンハーロック』の主人公・ハーロックを演じるにあたり、原作のファンにとっては固定したハーロックのイメージがあるので、その期待にこたえられるか不安だったという。男の悲哀や強さを様々な場面、台詞で重層的に表現しなくてはならず、声や口調もそれまでのアニメの主人公と違って派手に叫んだりはせず、抑えて演じたとのことである。声帯ポリープ切除のため二回分休演しており(代演は徳丸完)、全話出演を果たせなかったことについては、心残りだと語っている。その後、2001年頃を境にハーロックは演じる機会はなかったが、2014年の『アオイホノオ』の劇中アニメで13年ぶりに、更に6年後の2019年には『スーパーロボット大戦T』の『無限軌道SSX』にて再びハーロックを演じた。

2013年には製作者たちが井上のファンであったことから、TBSドラマ『安堂ロイド』に俳優として大物政治家役でゲスト出演、続けて翌2014年にドラマ『家族狩り』にレギュラー出演し、認知症老人の役を演じている。年齢を重ねてからの実写での活躍について井上は、「この年齢になって、自分の姿で演じることができて本当にうれしいです」と語っている。

後任・代役

浪川大輔 – (『ルパン三世シリーズ : 石川五エ門 役、『PROJECT X ZONE』: 毒島力也 役)

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